乗馬を始めるために揃えるべき基本の道具
乗馬の道具にはさまざまな種類があり、選ぶ際のポイントも多岐にわたります。⼈装品はもちろん、⾺に装着する⾺具や専⽤の⼿⼊れ用品までたくさんの道具があります。
初心者の方にとっては少しハードルが高く感じるかもしれませんが、正しい知識を持って道具選びを行えば、安心して乗馬を楽しむことができます。今回は、乗馬を始めるために必要な基本の道具について、特に人装品にしぼって詳しくご紹介します。

ヘルメット
乗馬において最も重要なアイテムの一つがヘルメットです。馬の動きは予測不可能で、わずかなきっかけで大きな動きをすることがあります。落馬して頭部を打ったり、馬のお手入れ時等に頭を蹴られたりする可能性もあるため、頭部を保護するヘルメットの着用は必須です。乗馬クラブでレンタルすることもできますが、特に暑い時期は、不特定多数の人が使うレンタル品は、汗やムレが気になるため、自分用のヘルメットを用意することをおすすめします。
ヘルメットを選ぶ際、大切なのがフィット感の確認です。サイズが大きすぎると、落馬時にヘルメット内で頭が動き、衝撃が増幅される危険があります。逆に小さすぎると、長時間の着用で頭が痛くなり、集中力が削がれてしまいます。ヘルメットは、騎乗時以外(お手入れ時等)も装着することがあるため、なおさらです。
適切なフィット感とは、頭を軽く振ってもずれない程度の締まり具合で、こめかみや後頭部に圧迫感がない状態です。眉上を起点にして頭囲を測ることが基本です。この頭囲を元に、それぞれのモデルのサイズを選ぶ必要があります。
後頭部にダイヤルがついていて、簡単にサイズ調整ができるモデルもありますが、初心者にはこうしたタイプがおすすめです。
ある程度ヘルメットの特性や⾃分の頭の特徴がつかめてきたら、よりフィット感のあるダイヤルがついていないものを選択肢に入れるのもいいでしょう。ダイヤルがついていないものは、54cm、55cm、56cm といった形でサイズがわかれており、サイズは固定のため調整ができないですが、その分、自分に合うものが見つかれば、最適なフィット感で乗馬を楽しむことができます。
ヘルメットは、デザインも豊富で、スポーティなものからクラシカルなもの、ラインストーン等の華やかな装飾が施されたもの、落ち着いた色合いのものから明るい色合いのものまで多彩に展開されています。お気に入りのデザインを選べば、乗馬へのモチベーションも自然と高まることでしょう。
洗い替え用のスペアのインナーパッドもあると、さらに清潔にヘルメットを使うことができます。

グローブ(手袋)
乗馬用のグローブは、手綱をしっかりと握り、操作するために必要なアイテムです。馬の動きに合わせて手綱を調整する際、素手では摩擦で手のひらが痛んだり、滑って思うように制御できなかったりすることがあります。そのため、専用のグローブを使うことが推奨されます。乗馬用グローブと市販の手袋との大きな違いは、手綱を握る部分が補強されていることです。⼿綱を握る、親指と⼈差し指の間、薬指と⼩指の間に、⾰や布が二重に張られており、耐久性を高め、手が擦れにくいような作りになっています。

素材には布、合成皮革、本革などがあり、それぞれに特長があります。布製のグローブは柔らかくて洗濯がしやすく、初心者に人気です。合成皮革は布よりも生地に張りがあり、耐久性とフィット感に優れ、デザインも豊富でおしゃれなものも多いです。使い込むほどに手に馴染む本革製は高級感があり、グリップ力に優れていますが、基本的に水に濡らせないため、お手入れが少し難しいです。また本革製は、布製や合皮製に比べると、少々値段が張ってきます。
フィット感も非常に重要です。指先に余分な空間があると、騎乗時の微妙な手綱操作に支障が出てくる場合があります。乗馬では繊細な手の動きを求められますが、グローブがフィットしていないと正しい感覚で動かすことが難しくなってしまいます。また、腹帯の装着等もやりにくくなります。試着時には手を握ったり開いたりして確かめることも大切です。
通気性が確保されたモデルであれば、長時間の騎乗でも蒸れにくく快適に過ごせるでしょう。
キュロット(乗馬用ズボン)
乗馬専用のズボンであるキュロットは、快適な騎乗のために不可欠なアイテムです。通常のズボンでは、鞍と接する部分で摩擦が生じやすく、肌が擦れて痛みを感じることがあります。また、生地が滑りやすいため、正しい騎乗姿勢を保つのが難しくなります。 キュロットにはいくつかの種類があり、自分の乗馬スタイルやレベルに合わせて選ぶ必要があります。⼀昔前は「尻⾰or 膝⾰、⾊も地味なもののみ!」のようなデザインが多かったのですが、最近では様々な種類があり、デザインもおしゃれでカラーも落ち着いたものから明るいもの、パールやビジューなどの装飾がついたものまで出てきていて、⾮常にファッション性が⾼くなってきています。

キュロットを選ぶ際に注目すべきポイントはたくさんありますが、まず気にする必要があるのは、グリップの種類です。共布/尻⾰/膝⾰/フルグリップ/ニーグリップの5種類の選択肢があります。
■共布
膝の部分(内股側)のみに、本体と同じ素材の布パッチが当てられたキュロットです。膝の部分が二重生地になっています。グリップ力はほとんどありませんが、安価なものが多く、初⼼者の⽅、Jr.の⽅、締め付けが苦⼿な⽅におすすめです。■尻革/膝革
「尻⾰」は、鞍に接するふくらはぎ中間からお尻全体にかけて、⾰(主にスエード系の合皮)が施されたキュロットです。「膝革」は膝の部分(内股側)のみに、革が施されています。共布よりもグリップ力は上がりますが、革部分に伸縮性がほとんどないこともあり、好き嫌いがわかれやすいです。ある程度のグリップ力は欲しいが、シリコンほどのグリップ力は必要無いという方、また、トラディショナルなスタイルが好きな方におすすめです。■フルグリップ/ニーグリップ
現在、主流となっているのが、シリコンが施されたフルグリップ/ニーグリップのタイプです。シリコンは、グリップ力が強く、尻革や膝革よりも強力な滑り止め効果があるため、騎乗時の安定感をもたらしてくれます。また、本体生地の上にシリコンがプリントされていて、生地一体型となっているため、尻革や膝革よりも伸縮性に富んでいます。初心者の方でも着用しやすいモデルが多いです。キュロットはデザイン面でも進化が進んでおり、様々なモデルが豊富に展開されています。お気に入りの一着を見つけることで、乗馬の時間がより楽しくなることでしょう。
ハーフチャップス
ハーフチャップスは、ショートブーツと組み合わせて使う脚部の保護具です。乗馬中、鐙(あぶみ)に足を置いた際、ふくらはぎが鞍に擦れるのを防ぎます。また、ふくらはぎをしっかりとホールドするため、姿勢が安定しやすくなります。ハーフチャップスは主に合成皮革や本革で作られており、シンプルなものからラインストーン等の装飾が施されたおしゃれなもの、カラフルなものまで多様に展開されています。
選ぶ際には、ふくらはぎの大きさにフィットするかどうかを確認する必要があります。きつすぎると脚を圧迫してしまいますし、緩すぎるとズレてしまい騎乗時の快適さが損なわれてしまいます。
また、丈が長すぎると膝裏に当たって騎乗時に違和感・不快感を覚えることがあるため、屈伸しても膝裏に生地が当たらないか、試着時にしっかり確認しましょう。

ブーツ
乗馬用ブーツは、足を鐙に安定させる役割を担います。一般的なスニーカーでは足が滑りやすくなり、鐙から外れやすくなるため、専用のブーツを用意することが推奨されます。気軽に乗馬を楽しみたい初心者には、ショートブーツとチャップスの組み合わせがおすすめです。これにより柔軟性が高まり、扱いやすさが向上します。柔軟性が高く、扱いやすさにも優れています。なお、合皮製のものは基本的に伸縮しないため、サイズ感が固定されてしまいますが、お手入れが簡単で初心者には適しています。
ロングブーツは、脚の安定性を向上させ、より適切な動きへと導きます。特に本革製のものは使い込むほどにフィット感が増し、騎乗時の快適さが向上します。また競技会等に出場する場合は、ロングブーツが必須となることが一般的です。
ロングブーツの難点としては、サイズ選びの難しさ、お手入れの難しさ、価格の高さが挙げられます。特にヨーロッパのロングブーツは、ふくらはぎが細く、丈が長い作りのものが多いため、日本人の脚に合いにくい場合が多いです。そのため、既製品が合わず、高価なオーダーメイド品を着用されている方も多くいます。また、ショートブーツに比べて、着脱が難しく感じることもあります。

ブーツは、滑りにくいソールを選ぶことで、鐙で足が滑るのを防ぎます。また、しっかりとしたヒールがあるタイプは、鐙へのフィット感が増し、安定した騎乗姿勢を維持しやすくなります。くるぶし周辺に拍車留めが付いているかどうかも、ブーツ選びのポイントのひとつです。
その他に揃えておきたいアイテム
乗馬の楽しさを深めるためには、以下のようなアイテムも必要に応じて検討すると良いでしょう。ボディプロテクター
落馬時に胸や背中を守るための防具で、特に障害飛越などでは必須アイテムです。最近ではエアバッグタイプが主流になっており、一部の乗馬クラブでは必須装備となっています。
鞭(ムチ)
馬に合図を送るために使用する道具です。強く叩いて刺激を与えるというよりも、脚での扶助が足りない場合等に、推進を加えるようなイメージで補助的に使用します。
拍車
ブーツのかかとに取り付ける道具です。馬に刺激を与え、進む合図を送る補助具として使用します。